県木として選ぶには、1郷土特有の木であること 2全島に広く分布していること 3住民に広く知られていること 4風致観光、および経済価値の高い木であること という4つの条件を満たしている必要がありました。1966年12月20日、「森林審議会」によって県木制定会議では、会長船越尚友氏他10人が参加しました。
候補としてあらかじめ、リュウキュウマツ、ガジュマル、フクギ、ビロウ、アカギ、テリハボクの6種類があげられていました。
「リュウキュウマツは名前からしてまさに郷土の木。沖縄各地の山野に広く生え、山野に占める割合は最も多い。他の樹木は沖縄以南に多いのであるから、より南の木といえるのでは?またリュウキュウマツはパルプ材として経済価値があるところから、リュウキュウマツこそが全ての条件に合うのではないか」という意見が多い中、「松は種類も多く、県木にしている県は他にもある。観光客が珍しい木を望むと考えると、沖縄でしか見られない樹木がいいのではないか」「テリハボクが亜熱帯らしい」「景観を考えるとビロウはどうだろう」「リュウキュウマツの落ち葉は農業に悪影響を及ぼすと考えられる」など、議論白熱、様々な意見が出ました。
会長船越氏の提案で琉球新報がよびかけた県民投票を参考にすることに。総投票1千375票中、リュウキュウマツ580票、ガジュマル472票、フクギ217票というのを踏まえ、リュウキュウマツが最終的に県木に選ばれたのです。
リュウキュウマツはトカラ列島以南南西諸島に分布し、別名沖縄松。樹皮は灰黒色で不規則な割れ目が特徴。琉球王朝時代、三司官蔡温(さいおん)が羽地大川の治水工事をしたとき、防風林や防砂林、防潮林として松並木を各地に造成し、以来美しい松並木は琉球人の愛する景色だったようです。
久米島町「五枝の松」(国指定天然記念物)、伊平屋村「念頭平松」(県指定天然記念物)はリュウキュウマツの銘木で、どちらも推定樹齢300年を超えると推定されます。
パルプ材のほか、美しい木目を生かしたテーブル、椅子などの家具、お盆や食器など工芸品、木工製品の材料としても使われています。
リュウキュウマツ Pinus Luchuensis Mayr
1967年2月7日告示第27号
1972年10月26日告示第157号
その名のとおり琉球特有のマツで、沖縄の自然を彩る代表的な高木である。木肌はやや黒色で、本土のクロマツとアカマツの中間くらい、針葉は本土のマツに比べて柔らかく細長いのが特徴である。どんな土質にも比較的よく育ち、20~30年で伐採できるため、本県の重要な造林樹種である。
土木建築材、盆栽として利用され、街路樹や防風樹としても古くから植栽されている。琉歌にもよく歌われ、年を経るにしたがって美しい樹冠を形成する。